前回記載した手順は、サーバー移行時にWordPressをHTTPS化し、独自ドメインを設定する際の、一般的かつベストプラクティスとされる手順のようです。
ベストプラクティスである理由
この手順がベストプラクティスとされる主な理由は以下の通りです。
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段階的なアプローチ:
- まずHTTPでWordPressが正常に動作することを確認し、それからHTTPSへ移行することで、問題発生時の原因特定を容易にします。
- DNS設定、Apache設定、WordPress設定と段階的に進めることで、各ステップでの影響範囲が明確になります。
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公式推奨ツールと方法の利用:
- WP-CLI を使ったWordPressアドレスの変更は、データベース内のURLを一括で正確に書き換えるため、手動でSQLを操作するよりも安全で確実です。管理画面から変更するよりもエラーが起きにくく、Mixed Content問題の発生も抑えられます。
- ApacheのVirtual Host設定は、ウェブサーバーの標準的な方法であり、リダイレクトやSSL証明書の適用を正確に制御できます。
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セキュリティとSEOへの配慮:
- HTTPS (SSL/TLS) 化は、通信の暗号化によるセキュリティ向上だけでなく、Googleなどの検索エンジンがHTTPSサイトを優遇するため、SEOにおいても非常に重要です。
- HTTPからHTTPSへのリダイレクト (
Redirect permanent
) は、SEO上の評価を引き継ぎつつ、ユーザーを安全なHTTPS接続へ確実に誘導するために不可欠です。 - HSTS (HTTP Strict Transport Security) の設定は、一度HTTPSでアクセスしたユーザーに対して、次回以降のアクセスを強制的にHTTPSにするための強力なセキュリティ機能であり、中間者攻撃などを防ぐのに役立ちます。
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メンテナンス性と拡張性:
- ドメインごとにVirtual Hostファイルを分けることで、複数のサイトを運用する際の管理がしやすくなります。
- Apacheモジュールの活用(
mod_ssl
、mod_rewrite
)は、ウェブサーバーの機能を最大限に引き出すための標準的な方法です。
注意点と補足
- ダウンタイム: DNSの浸透時間や設定作業中は、一時的にサイトにアクセスできなくなる「ダウンタイム」が発生する可能性があります。計画的な作業が重要です。
- CDNの利用: 大規模なサイトやグローバル展開を考えている場合は、CDN(Content Delivery Network)の導入も検討すると良いでしょう。CDNを利用する場合、SSL証明書の扱いやリダイレクト設定が少し変わることがあります。
- バックアップ: 設定変更を行う前には、必ずウェブサイトのファイルとデータベースの完全なバックアップを取ることが、万が一の事態に備える最も重要なベストプラクティスです。