JWT(JSON Web Token)とは
JWT(JSON Web Token)は、ユーザー認証や情報交換のために広く使用されるオープンスタンダード(RFC 7519)です。JWTは、情報を安全に送受信するためのコンパクトで自己完結型の方法を提供します。主に、ユーザーの認証情報や権限を管理するために利用されます。
JWTの構造
JWTは、以下の3つの部分から構成されています。
– ヘッダー(Header): トークンのタイプ(通常は「JWT」)と使用する署名アルゴリズム(例:HMAC SHA256)を指定します。
▼json
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{ "alg": "HS256", "typ": "JWT" } |
– ペイロード(Payload): ユーザーに関する情報やクレーム(claims)を含む部分です。クレームには、発行者(iss)、対象者(sub)、発行時間(iat)、有効期限(exp)などが含まれます。
▼json
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{ "iss": "example_issuer", "sub": "user_id123", "exp": 1644768000, "iat": 1644744000 } |
– 署名(Signature): ヘッダーとペイロードを結合し、秘密鍵を使って生成される部分です。この署名により、トークンの整合性と発行者の認証が保証されます。
▼plaintext
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signature = HMACSHA256(base64UrlEncode(header) + "." + base64UrlEncode(payload), secret) |
これらの部分は「.」で区切られ、最終的にJWTは次のような形式になります。
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eyJhbGciOiJIUzI1NiIsInR5cCI6IkpXVCJ9.eyJ1c2VyX2lkIjoiMTIzNDU2IiwibmFtZSI6IkpvaG4gRG9lIiwiaWF0IjoxNTE2MjM5MDIyfQ.SflKxwRJSMeKKF2QT4fwpMeJf36POk6yJV_adQssw5c |
JWTの使用場面
JWTは、以下のようなシナリオで特に有用です。
– ユーザー認証: ユーザーがログインすると、サーバーはJWTを生成し、クライアントに返します。以降のリクエストでは、このJWTをAuthorizationヘッダーに含めることで、ユーザーの認証を行います。
▼plaintext
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Authorization: Bearer <token> |
– シングルサインオン(SSO): 複数のアプリケーション間でユーザーの認証情報を共有する際に、JWTを使用することで、ユーザーは一度のログインで複数のサービスにアクセスできます。
– 情報交換: JWTは、データを安全に交換するための手段としても利用されます。例えば、異なるサービス間でユーザーの権限情報を伝達する際に、JWTを使用することで、データの整合性を保ちながら情報を共有できます。
具体例
例えば、ウェブアプリケーションにおいて、ユーザーがログインすると、サーバーは次のようなJWTを生成します。
▼json
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{ "iss": "myapp", "sub": "user123", "exp": 1700000000, "iat": 1699990000 } |
このJWTは、ユーザーがアプリケーション内の保護されたリソースにアクセスする際に、リクエストヘッダーに含められます。サーバーはJWTを検証し、ユーザーがアクセス権を持っているかどうかを判断します。
まとめ
JWTは、ユーザー認証や情報交換において非常に便利な技術です。そのコンパクトな構造と自己完結型の特性により、スケーラビリティやパフォーマンスの向上が期待できます。ただし、JWTを使用する際は、秘密鍵の管理やHTTPSの利用など、セキュリティに関するベストプラクティスを遵守することが重要です。